2021年11月度研究会のお知らせ


1)日時:2021年11月24日(水)19時~21時

2)場所:日本学士会館310号室(神田神保町近く(東京メトロ半蔵門線・都営三田線神保町駅下車徒歩6分) 

3)演題*『戦争論』の重要概念の検討

―「戦争指導vs用兵」(Kriegsführung)、「殲滅戦争vs撃滅戦争」など訳語を検討する―

4)発表者: 加藤秀治朗 (東洋大学名誉教授・当学会会員

5)参加費:  一般会員 1,500円 学生会員 1,000円  非会員 2,000円

6)報告概要:

報告者は、編訳『縮訳版 戦争論』(日本経済新聞出版)を2020年11月に刊行したが、

その後も全訳に向けた作業を続けているが、その過程でいろいろ考えるところがあり、

本報告では、それらの点にふれていきたい。

論点の中心は、クラウゼヴィッツ『戦争論』の重要概念の訳語の問題である。小さな問題のようでありながら、

それら訳語の集積が『戦争論』全体の理解を大きく作用すると考えるからである。(二つの概念を中心に論じる予定であるが、

論点を整理する中で、もう少し増えるかもしれない。)

一つは、重要な概念でありながら、ほとんど議論されてこなかった概念で、戦争指導、作戦、用兵などと訳されてきたKriegsführung

(英訳 conduct of war)がそれである。『縮訳版』では、定義の部分を重視して「用兵」の訳語でほぼ統一をとったが、

他の個所に出てくる用法には幅があり、「用兵」だけで通すのには無理があるように感じている。それらを幾つかの文章を通じて検討する。

もう一つは、以前は長らく、ほぼ「殲滅」と訳されてきた Vernichtung である。ずっと論争の種となってきた概念であり、

『縮訳版』では「撃滅」と訳したが、多少、根拠をよりよく整理できたように思うので、その点を述べていきたい。

 ドイツ語に関連する記述が出てくるが、特にドイツ語の知識がなくとも理解できるように述べていくつもりであるので、

多くの方に参加いただければ、幸いである。


 12月度予定

  12月15日(水)19時より、本学会の西田理事に孫子の戦略に関する

発表をおこなって頂くことになっています。どうぞご期待ください。

                             以上

日本クラウゼヴィッツ学会

「日本クラウゼヴィッツ学会」(Clausewitz Society of Japan)は、「戦争論」の著者カール・フォン・クラウゼヴィッツ(Carl von Clausewitz)の業績を顕彰し、日本における「戦争論」を中心とする戦史・ 安全保障のあり方などについての研究を促進し、あわせて会員相互の親睦をはかることを目的とします。